2011年第1問 風景の中の環境哲学
難しい文章はどうするか?
- 何を求めているか考える
- 分割する
- つなぐ
問1
問1
身体的移動のなかでの風景体験 とはどういうことか (6点)
身体移動とは?
「河川に沿う道」「歩道を歩きながら」 → 川沿いを歩きながら
風景とは?
「各身体に出現する空間の表情」 → 身体でとらえた空間のこと
それを体験するとは?
「そこを歩く自己の体験」「河川空間での自己の身体意識」 → 空間と共に自己を意識すること
採点基準 - 川沿いに歩く : 2点 - 身体でとらえる空間を意識する : 2点 - 自己も意識する : 2点
問2
問2
本来身体空間であるべきものが概念空間によって置換されている事態 とはどういうことか. (6点)
答えのフォーマット
本来【ほげほげ】であるべきものが【ほげほげ】によって【ほげほげ】となっているということ.
身体空間とは?
「経験を積む空間」「風景の近くが人それぞれに多様な経験を与える」 → 身体が多様な経験を積めるはずの空間
概念空間とは?
「豊かさの内容が...概念によって空間の再編が行なわれる」 → 固定的概念で再編された空間
置換されているとは?
「それ以外のことをする可能性は排除されてしまう」「既知の観念によって管理すること」「コントロールされた概念に出会うだけ」 → 多様な可能性が排除され, 経験が管理される状況
採点基準 - 身体が多様な経験を積めるはずの空間 : 2点 - 固定的概念で再編された空間 : 2点 - 可能性を排除され/管理されること : 2点
問3
問3
それは庭園に類似している とあるが, なぜそう言えるか. (6点)
なぜそう言えるか?
答え方は, 庭園が【ほげほげ】であるのとどうように, 河川も【ほげほげ】だから
それ
河川の竣工が河川空間が育つ起点になるということ
時間をかけ自然の力と人間の手助けによって川に個性が生まれる
庭園の何に類似しているか?
植栽が育成の起点になるということ.
採点基準 - 植栽が育成の起点になるように : 2点 - 河川の竣工が河川空間が育つ起点になる : 2点 - 自然の力と人間の手助けによって川に個性が生まれる : 2点
問4
問4
河川の空間は, 時間の経過とともに履歴を積み上げていく とはどういうことか. (6点)
履歴とは?
「風景に接した人が...個性的な経験を」積むこと.
「川の空間は, 独特の空間の履歴を持つ」こと. → つまり, 多くの人々の経験の蓄積, 自然の営みを含むもの.
積み上げていくとは?
固有の履歴(それ自身)を構築する基盤となるということ.
採点基準 - 人々の経験の蓄積 : 2点 - 自然の営みを含む : 2点 - それをさらに構築する基盤になる : 2点
問5
問5
風景こそ自己と世界, 自己と他者が出会う場である とはどういういことか, 文章全体を踏まえて説明せよ. (5点)
風景
身体で捉える空間
自己
自分の経験の積み重ね
世界
河川に蓄積された履歴
であい
それらで風景を構築すること
他者
ひとりひとりが自分の履歴をベースとしている
出会って, 風景を構築するとは?
それらを共有する
さらに追加できる要素
管理されて限定されている概念空間に対して風景の構築が大事
創造的な空間になる
採点基準 - 身体で捉える空間には : 2点 - 個人の経験の積み重ね : 2点 - 河川に蓄積された履歴を交差させる : 2点 - それは個人によって異なる : 2点 - ので, それらが共有されて : 2点 - 創造的な空間になる : 2点

2011年第2問 忠直を存すべき事
メモ
- できごとがない文章こそ、たくさん主語を補う
- 訳す問題ではすべての単語を置き換える
問1
問1:ア
ひとへに君に随い奉る, 忠にあらず を現代語訳せよ. (4)
忠
儒教の8を思い出すと、忠誠がただしい
にあらず
には断定のなりなので ではない × とは言えない
ひとへに
ただただ、いちずに
君
× あなた
随い奉り
奉りなので謙譲の補助動詞、申し上げるを添える.
採点基準
- ひとへに: 1点
- 君=君主: 1点
- 服従申し上げる: 1点
- 忠誠ではない: 1点
問1:ウ
思ひ立ちぬることをいさむるは, 心づきなくて, を現代語訳せよ. (3)
言ひあはする人の, 心にかなふとは?
主君が、自分に合う人は気にいるし、思い立ったことをいさめるのは、気に食わない。という対比
思い立った
自分が決心したことを
ことをいさむるは,
他人がいさめることは、× いさむるなので受身ではない.
採点基準
- 君主(自分)が決心したことを: 1点
- 他人がいさめることは: 1点
- 気に食わなくて: 1点
問1:カ
機嫌をはばかつて, やはらかにいさむべし. を現代語訳せよ. (3)
目的語
相手の/ 怒っている人の
機嫌
様子 (現代語訳でそのまま書くのは危険)
はばかって
考慮して
べし
すいぎんとうめいよてきかんよ
やわらかく
やさしく に置き換える.
問2
問2
世の末にこのことかなはず を指示語に注意して現代語訳せよ. (4)
末法思想
正法(500年) → 末法(1000年) → 像法(10000年)
つまり、釈迦が死んでから悟りができないとか言ったりする未世には
かなはず
できない.
このこと
父母、親類にてもあれ…必ずいさむべきと思えども
採点基準
- 末世: 1点
- このこと = 目上の人や友人に: 1点
- 悪いことを: 1点
- いさめることができない: 1点
問3
問3
その人のよく言ひつるものを と思ひあはすれども を内容がよくわかるように現代語訳せよ. (4)
直前の動作
することの悪しきさまにもなりて, しづかに思ひ出づる時は は、君主の動作.
その人は?
いさめてくれた家来
ものを, ものから, ものの
全部逆説で訳する
よく言ひつるものを
つるは完了の動詞、つまり家臣が言ってた のに
よく
よし → 的確に × 頻度の話ではない
思ひあはすれども,
思い直すけれども,
採点基準
- あの家臣が 立派にいさめていた: 2点
- のに: 1点
- 思い当たるが: 1点
問4
問4
このことを聞かせじと思ふなり はなぜか? (4)
直前の内容
なにかをやろうと思った時、家臣にいさめられてあーはいはい言った通りねとなるのは嫌なので、家臣に決心したことを伝えないようにするということ.
いさめむずらむ
いさめ むず らむ むずはむと同じ意味.
採点基準
- このこと: 決心したことを: 2点
- 家臣に伝えるといさめられて: 1点
- 不愉快になるから: 1点
問5
問5
頼めらむ人のためには, ゆめゆめうしろめたなく, 腹黒き心のあるまじきなり とはどういうことか? (4)
前の行
頼めらむ人
頼め ら む人 なので、らはりなので、頼むは四段動詞: つまり頼りにしていた人
これは使えている主君の話をしている.
ゆめゆめ
決して…ない
採点基準
- 主君や親など、頼りにする人が: 1点
- 決して不安が気がかりがないように: 1点
- 邪悪な心があってはならない: 1点
- いさめなければならない: 1点、
単語
- こころづきなし = こころにfitしない = 不愉快だ
- ありがたし = めったにない
- さて = そうして.
- むつかし = 不愉快
- うしろめたし = 対義語: うしろやすし(安心だ): 不安だ/気がかりだ