けんとのブログ

辛さの中に旨みあり

漸化式の一般解

問題 (2025/08 東大レベル模試 3)

(1) 以下の条件を満たす正の整数 ${m}$ を小さい順番に $4$ つ求めよ : $$ | (1+i)^{m} + (1-i)^{m} | >10^{4} $$

(2) 以下の条件を満たす正の整数 ${m}$ を小さい順番に $4$ つ求めよ : $$ | (1+i)^{m} + (1-i)^{m+3} | >10^{4} $$ ただし, $2^{20}=1048576$ を使って良い.

東進の解答

$\alpha = 1+i$ として, $\alpha = \sqrt{2} \cos(\pi/4)$ を使ってうまくやっているが, (2)の変形はしんどいと思った.

東進の解答 (2)

定理

$x^{2}-ax+b=0$ の解が $\alpha$, $\beta$ で, $\alpha \neq \beta$ であるとする.

数列 ${ x_{n} }$ が漸化式 $$ x_{n+2} - ax_{n+1} + bx_{n} = 0 \quad (n=0,1,2\ldots ) $$ を満たすとき, $x_{n}$の一般(一般)解は $\alpha$, $\beta$ と任意の定数 $c_1, c_2$ を用いて$$ x_{n} = c_1 \alpha^{n} + c_2 \beta^{n} $$ と表せる.

証明

ある数列 $x_{n}$ が漸化式を満たしているとして, それと等しい数列 $x'_n=c_1 \alpha^{n} + c_2 \beta^{n}$ の一般解を与えることを考える.

まず, $x_{0}$, $x_{1}$から $$ c_1 =\frac{x_1-\beta x_0}{\alpha-\beta}, \quad c_2 = \frac{x_1-\alpha x_0}{\beta-\alpha} $$ とすると, $x_0=x'_0$, $x_1=x'_1$ である. 次に, 帰納的に $x_{k}=x'_{k}$, $x_{k+1}=x'_{k+1}$ として, $\alpha$, $\beta$ が $x^{2}-ax+b=0$ の解であることを使うと \begin{aligned} x'_{k+2} &= c_1 \alpha^{k+2} + c_2 \beta^{k+2} \\ &= c_1 \alpha^{k} \alpha^{2} + c_2 \beta^{k} \beta^{2} \\ &= c_1 \alpha^{k} (a\alpha +b) + c_2 \beta^{k} (a\alpha +b) \\ &= a(c_1 \alpha^{k+1} + c_2 \beta^{k+1} ) + b(c_1 \alpha^{k}+c_2 \beta^{k}) \\ &= ax'_{k+1} + bx'_{k} \\ &= ax_{k+1} + bx_{k} \\ &= x_{k+2} \end{aligned} より, $x_{k+2} = x'_{k+2}$ が言えた. なので, ある数列が漸化式を満たすならこの形式で表せることが言えた.

逆に, 任意の $c_1, c_2$に対して $x_n = c_1 \alpha^{n} + c_2 \beta^{n}$ としたときそれが漸化式を満たすことはすぐわかるので, 証明できた.

つまり?

まず漸化式について, $x_n = \alpha^{n}$ は"特殊解"と呼ばれ, これはもちろん漸化式を満たします. 次に漸化式を満たす数列$x_n$と定数$c$について, その定数倍 $x'_n = cx_n$ の数列も漸化式を満たします. 次に漸化式を満たす数列 $x_n$, $x'_n$ について, その和 $x''_n = x_n + x'_n$ の数列も漸化式を満たします.

このようにして, 漸化式の解として満たされる全ての数列の集合を考えることができます.

これは微分方程式と似ています : $$\dfrac{d^{2}x}{dt^{2}}-a\dfrac{dx}{dt}+bx=0$$

もとの問題の解答

$\alpha = 1+i$, $\beta = 1-i$ とすると, これらは二次方程式 $$ z^{2} - 2z + 2 =0 $$ の解である.

(1) は, 数列 $z_{m}$ を $$ z_m = (1+i)^{m} + (1-i)^{m} = \alpha ^{m} + \beta^{m} $$ と定めると, 定理と同じ計算から $$ z_{m+2} = 2z_{m+1} -2 z_{m} $$ がわかる.

これを用いて, $z_0$, $z_1$ から, $z_{m}$ を地道に $m=30$ ぐらいまで計算すると (1) がわかるが, 周期 $8$ に注目してもいい. (省略)

(2) は, 再び $$ u_m = (1+i)^{m} + (1-i)^{m+3} = \alpha ^{m} + \beta^{3} \beta^{m} $$ と直すと, $u_{m}$ は$$ u_{m+2} = 2u_{m+1} -2 u_{m} $$ が成り立つ. $u_0 = -1-2i$, $u_1 = -3+i$ から, $m=0\ldots 8$まで,

${m}$ $u_{m}$ $|u_m|^{2}$
$0$ $-1-2i$ $5$
$1$ $-3+i$ $10$
$2$ $-4+6i$ $52$
$3$ $-2+10i$ $104$
$4$ $4+8i$ $5\times 16$
$5$ $12-4i$ $10\times 16$
$6$ $16-24i$ $52\times 16$
$7$ $8-40i$ $104\times 16$
$8$ $-16-32i$ $5\times 16^{2}$

とわかり, 特に $u_{m+4} = -4u_{m}$ なので, $s_m = |u_{m}|^{2}$ とおくと, $$ s_{4k} = 5\times 2^{4k}, \quad s_{4k+1} = 5\times 2^{4k+1}, \quad s_{4k+2} = 13\times 2^{4k+2}, \quad s_{4k} = 13\times 2^{4k+3} $$ がわかる. あとはこれが $10^8$ を超えるところを地道に調べれば良い.

いかがでしたか?

しんどい式変形よりも楽しい解法にはなったと思う.

そういえば, $\alpha=\beta$ のときは, $$ x_n = \alpha^{n} (c_1 n +c_2) $$ が一般解になりますね.

人間の目では5m先の1mmの文字を読めない理由

人間の目だと5m先の1mmの文字を読めないんですよね。目がいい人だったらできそうですが。 Kevin W2 (optics) の内容をベースにまとめます。

スリット回折

凸レンズなどを考える前に、まずは幅 $D$ のスリット(ただ長方形の穴をあけたもの)から光を通すことを考えます。光の波長を $\lambda$ とします。

いま、物体から波長 $\lambda$ の光が来ているとして、この物体との距離 $L$ は $D$ や $\lambda$ より十分大きいとします。この物体から光線は平行光線の集合とみなせます。この物体の光が来る方向 $\theta$ を図のように定めます。

ここで、光は平行光線の集合なので $\theta$ をどこから測るかに関係はないことに注意します。

このとき、光は波なので、波長 $\lambda$ で変化する位相を持ちます。

物体から放たれる光はすべて同位相であると仮定すると、斜め方向から入射した光はより長い距離を伝わる必要があります。(図の赤い線)

詳しく見てみると、右の光は一番左の光に対して $D\sin\theta$ だけ長い距離を進むことになります。

波に対して、波数 という概念を導入します。波数 $k$ の定義は、 $$ k = \frac{2\pi}{\lambda} $$ とします。このとき、光の位相 $\phi$ は、角振動数 $\omega$ と $k$ を用いて $$ \phi = kx - \omega t $$ と表せます。 ( $x$ は長さの座標で、$x$ が $\lambda$ 増えると $\phi$ が $2\pi$ 増えることに注意してください。)

光の振幅(電場)を、適当に $A$ とおいて、$$ \mathbf{A} = A e^{i\phi} = A e^{i (kx - \omega t)} $$ とかきます。すると、光はこの複素振幅の足し合わせになります。

Kevin 本編では $N$ 分割にした透過回折格子で $N\to \infty$ としていましたが、この電場を各光線に対して足し合わせたものがスリットを通る光となります。

適当に振幅を足し合わせてみましょう。スリットの中心を $x=0$ として、そこでの位相を $0$ とします。$x$ に入射する光は $kx\sin\theta$ だけ位相が増えているので、全体の電場を $E_0$ とおくと、これらの合計は $$ \mathbf{E} = E_0 \frac{1}{D} \int_{-D/2}^{D/2} \exp(ikx\sin\theta) dx $$ なので、実部と虚部にわけて積分したことにすると、(実際はしていない) この結果は $$ \mathbf{E} = E_0 \cdot \frac{e^{ikD\sin\theta/2}-e^{ikD\sin\theta/2}}{ikD\sin\theta} = E_0 \frac{2\sin(kD\sin\theta/2)}{kD\sin\theta} $$ となるので、角度 $\theta$ の方向に見える光の強度 $I$ は $I \propto |\mathbf{E}|^2 $ なので $$ I(\theta) = I_0 \left(\frac{2\sin(kD\sin\theta/2)}{kD\sin\theta} \right)^2 $$ となります。これを $\theta$ のグラフでプロットしてみます。$k$ というのは馴染みがないので、光の波長 $\lambda$ で考えると、次のようなグラフが得られます。

D=0.8λ のとき。

D=2λ のとき。

D=20λ のとき。

ただし、これは見える方向 $\theta$ のグラフなので実際はスクリーンの像は arctan とする必要がありますね。

これの図を見ながら、スリットによる回折の効果などを考えていきます。

人間の目

人間の目の瞳孔(pupil)も幅約 $D\approx 3\;\rm mm$ のスリットのような役割で光を通しています。人間が見ているのは $\lambda \approx 500\;\rm nm$ の可視光です。

$D/\lambda =2$ の図を見るとわかる通り、強度 $I=0.05I_0$ の幅極大が $\theta \approx \frac{\pi}{4}$ に現れているのが見えます。これが回折による干渉縞として見えます。

この干渉縞の位置を求めます。minima(暗点)の位置を考えると、これは $I=0$ になるところで、これは $$ \frac{D}{\lambda} \sin \theta = m \quad m=1,2,\ldots $$ の位置にできます。maxima(明点)の位置は、これの中点だと雑に近似すると、*1 $$ \frac{D}{\lambda} \sin \theta = m+\frac 12 \quad m=1,2,\ldots $$ となります。$D=2\lambda$ の場合は $m=1$ の明点がおよそ $\theta\approx \frac{\pi}{4}$ に見えていますね。

$\sin\theta\approx \theta$ と近似できるほど $\theta$ が大きい場合は、$m$ 次の干渉縞は $$ \theta_m = \left(m+\frac 12 \right) \frac{\lambda}{D} $$ の位置にできます。

さて、$\theta=0$ の位置にある文字を読もうとしたとき、さっきの話しからすると $\theta \approx (3/2)\frac{\lambda}{D}$ の位置にも少しその文字の像がうすく見えてしまいますね。つまり、文字がこの範囲にぼやけて見えて、その範囲の $\theta$ に入る文字はぼやけて読めなくなります。

この $\theta$ を分解能といい、$$ \Delta \theta \approx \frac{\lambda}{D} $$ となります。先ほどの人間の目の場合だと $\Delta \theta \approx 2\times 10^{-4}\;\rm rad$ なので、$5\;\rm m$ 離れた位置にある $1\;\rm mm$ の文字は理論上読めない分けですね。

*1:実はこれ、微分の計算を行うと$\theta_m$ は $$ \frac{\pi D}{\lambda} \sin\theta_m = \tan\left(\frac{\pi D}{\lambda} \sin\theta_m \right) $$ の根なんですね。だから、結局 $$ u = \tan u $$ の根は小さい方から順に $u=0,4.49(\approx 1.43\pi), 7.70 (\approx 2.45\pi), 10.90 (\approx 3.47\pi)$ なので, 大まかな近似として $$ \frac{\pi D}{\lambda} \sin\theta_m = u_m \approx (m+\frac{1}{2})\pi $$ と近似できます。

p乗平均の不等式のやつ

最近受験数学でよく見かけるやつ、毎回忘れてまうのでここに残しておきます。

定義

$a$, $b$ を正の実数とするとき, 実数 $p$ に対して, $p$ 乗平均$$ L_p (a,b) = \left(\frac{a^ p+b^p}{2}\right)^{\frac{1}{p}} $$ とする.

性質

以下の性質が成り立つ.

  • $\displaystyle L_{1} (a,b) = \frac{a+b}{2}$. (相加平均)
  • $\displaystyle \lim_{p\to 0} L_{p} (a,b) = \sqrt{ab}$ . (相乗平均)
  • $\displaystyle L_{-1} (a,b) = \frac{2}{\frac{1}{a}+\frac{1}{b}}$ . (調和平均)
  • $\displaystyle L_{2} (a,b) = \sqrt{\frac{a^2+b^2}{2}}$. (2乗平均のルート, 標準偏差?)
  • $\displaystyle \lim_{p\to +\infty} L_{p} (a,b) = \max(a,b)$.
  • $\displaystyle \lim_{p\to -\infty} L_{p} (a,b) = \min(a,b)$.

また, 実数 $p$ について, ($a$, $b$ を固定した時), $L_p(a,b)$ は単調増加関数である. つまり, $$ \min(a,b) \leqq \frac{2}{\frac{1}{a}+\frac{1}{b}} \leqq \sqrt{ab} \leqq \frac{a+b}{2} \leqq \sqrt{\frac{a^2+b^2}{2}} \leqq \max(a,b) $$ が成り立つ.

$p\to \pm \infty$ の証明

$p=1,-1,2$ は代入するだけです. $p=\pm\infty,0$ の証明を残しておきます.

事前準備として, $a< b$ を仮定します. $a=b$ のときは自明です. また, $t=\frac{b}{a}$ とおいて, $$ L_p(a,b) = \left(\frac{a^ p+b^p}{2}\right)^{\frac{1}{p}} = \left(\frac{a^ p+(at)^p}{2}\right)^{\frac{1}{p}} = a \cdot \left(\frac{1+t^p}{2}\right)^{\frac{1}{p}} $$ と変形し, $$ f(x) = \left(\frac{1+t^x}{2}\right)^{\frac{1}{x}} $$ としておきます. $L_p(a,b) = af(p)$ です.

$b>a$ を仮定したので $t>1$ です. なので $$ \lim_{x\to +\infty} f(x) = \lim_{x\to +\infty} t \cdot \left(\frac{(1/t)^x+1}{2}\right)^{\frac{1}{x}} = t \cdot \left( \frac{0+1}{2} \right)^{0} = t $$ $$ \lim_{x\to -\infty} f(x) = \lim_{x'\to \infty} \left(\frac{1+t^{-x'}}{2}\right)^{ - \frac{1}{x'}} = \lim_{x'\to \infty} \left(\frac{1+(1/t)^{-x'}}{2}\right)^{ - \frac{1}{x'}} = \left( \frac{1+0}{2} \right)^{0} = 1 $$ より, $\displaystyle \lim_{p\to +\infty} L_{p} (a,b) = at =b$と, $\displaystyle \lim_{p\to -\infty} L_{p} (a,b) = a$ が言えました.

$p=0$の証明

$p\to 0$ の証明はマジで毎回忘れてしまいます. $$ \log(f(x)) = \log\left(\left(\frac{1+t^x}{2}\right)^{\frac{1}{x}}\right) = \frac{\log \left(\frac{1+t^x}{2}\right)}{x} $$ として, $$ \lim_{x\to 0} \log(f(x)) = \lim_{x\to 0} \frac{\log \left(\frac{1+t^x}{2}\right)}{x} = \lim_{x\to 0} \frac{\log \left(\frac{1+t^x}{2}\right)-\log \left(\frac{1+t^0}{2}\right)}{x-0} = (\log f(x))' _{x=0} $$ となり, $\frac{d}{dx} t^x = \log t \cdot t^x$ から, $$ (\log f(x))' _{x=0} = \frac{\log t \cdot t^0}{2} \cdot \frac{2}{1+t^0} = \frac{\log t}{2} $$ が言えました. つまり, $$ \lim_{x\to 0} f(x) = e^{\log t/2} = \sqrt{t} $$ なので $$ \lim_{p\to 0} L_{p} (a,b) = a\cdot \sqrt{t}= \sqrt{ab} $$ です.

単調性の証明

$f'(x)>0$ を言えばよく, $f(x)'$ の代わりに $\log f(x)$ を考えると, $$ \log f(x) = \frac{\log \left(\frac{1+t^x}{2}\right)}{x} $$ なので, (結構大変ですが) 微分を実行すると, $$ (\log f(x))' = \frac{ x\cdot \frac{\log t \cdot t^x}{2}\frac{2}{1+t^x} - \log\left( \frac{1+t^x}{2} \right) }{x^2} = \frac{ x\log t \cdot \frac{t^x}{1+t^x}- \log\left( \frac{1+t^x}{2} \right) }{x^2} $$ ここで分子の関数を $g(x)$ とおきます. $$ g(x) = x\log t \cdot \frac{t^x}{1+t^x}- \log\left( \frac{1+t^x}{2} \right) = \log t^x \cdot \frac{t^x}{1+t^x} - \log\left( \frac{1+t^x}{2} \right) $$ なので, やっかいな $t^x$ を置換でき $t^x = u$ とおきます. $u$ は ($x\neq 0$ なので) $0<u<1, 1<u$ を動き, $$ g(u) = \frac{u}{1+u} \log u - \log\left(\frac{1+u}{2}\right) $$ となりました. $g(u)>0$ を示せばいいので, できれば通分しておきたいので, $$ h(u) = u\log u - (1+u) \log\left(\frac{1+u}{2}\right) $$ とおきます. $$ h'(u) = \log u + 1 - \log\left(\frac{1+u}{2}\right) - 1 = \log\left(\frac{2u}{1+u}\right) = \log\left(1+\frac{u-1}{1+u}\right) $$ なので, $u>1$ で $h'(u)>0$ であり, $h(1)=0$ なので, $u>1$ で $h(u)>0$, $u<1$ で$h'(u)<0$ なので $u<1$ でも $h(u)>0$, つまり, $0<u<1, 1<u$ で $g(u)>0$ なので, $\log f(x)$ は $x\neq 0$ で単調増加であることが示されました.

普通に大変ですね. もう擦られないと思いますがもし擦られたらこの証明をコピペできるように頑張りましょう. 最後に, $L_p$ の $a=4, b=9$ におけるグラフを貼っておきます.

L(p) のグラフ

スリンキーコイルの固有振動数

スリンキーコイルは面白いおもちゃです. 今回はそれに関する物理オリンピックの教材の問題についてです.

問題 - Kevin M4 Q23 より

$N$ 個の同一の質点$\; m $ がバネ定数 $k$ のバネで繋がれている. このとき, $N$ 個の質点の固有振動数(基準モード)を求めよ.

解いてみた

もとの教材には小問がついています. まず $N=2$ の場合を考えましょう. 質点の番号を上から時計回りに $0$, $1$, $\ldots$, $N-1$ とします.

$N=2$ のとき

$2$ 個の質点の基準点からの変位を $y_0$, $y_1$ とします.

質点$0$ と $1$ の間にあるばねは $y_1-y_0$ 伸びていて, $1$ と $0$ にあるばねは $y_0-y_1$ 伸びているので, 質点の運動方程式は \begin{aligned} & m\ddot{y_0} = k(y_1-y_0) - k(y_0-y_1) \\ & m\ddot{y_1} = k(y_0-y_1) - k(y_1-y_0) \\ \end{aligned} となります. これらを整理すると, \begin{aligned} & \ddot{y_0}+\ddot{y_1} = 0 \\ & \ddot{y_0}-\ddot{y_1} = -\frac{4k}{m} (y_0-y_1) \\ \end{aligned} と, $y_0$, $y_1$ は等速の並進運動か (この場合は角振動数 $\omega = 0$ ), 角振動数 $\sqrt{\frac{4k}{m}}$ の単振動になります. 後者の場合, $\ddot{y_0}+\ddot{y_1}=0$ なので, $y_0$ と $y_1$ は逆位相でなければなりません. つまり, 次のような運動が固有振動です.

その振動数は, ばねの単振動の振動数 $\omega_0 = \sqrt{\frac{k}{m}}$ を基準にすると, $$ \omega = 2\omega_0 $$ となります.

$N=3$ のとき

先ほどと同様に運動方程式を立てると, \begin{aligned} & m\ddot{y_0} = k(y_1-y_0) - k(y_0-y_2) \\ & m\ddot{y_1} = k(y_2-y_1) - k(y_1-y_0) \\ & m\ddot{y_2} = k(y_0-y_2) - k(y_2-y_1) \\ \end{aligned} となります. これら3本の式を足すと, $\omega=0$ のモードに対応する $$ \ddot{y_0} +\ddot{y_1}+\ddot{y_2} =0 $$ が出てきます. また, 1本目から2本目の式を引くと, $$ \ddot{y_0} - \ddot{y_1} = -\frac{3k}{m} (y_0-y_1) $$ となり, これは $\sqrt{3}\omega_0$ の角振動数を与えます.

振動モードは線型独立なものが合計3つあります. (自由度の数だけ存在する) まずは並進の1つに加え, $\omega=\sqrt{3}\omega_0$ のものは複素数 $z_1$, $z_2$ を用いて $$ y_0 = e^{i\omega t}, \quad y_1 = z_1 e^{i\omega t}, \quad y_2 = z_2 e^{i\omega t} $$ と解を予想すると, もとの方程式は \begin{aligned} & 3 = 2 -z_2-z_1 \\ & 3z_1 = 2z_1 - 1 -z_2 \\ & 3z_2 = 2z_2 - z_1 - 1 \\ \end{aligned} がとなります. これらの解は不定で, $z_1+z_2 = 1$ なる解を任意に2つ独立に取ることができます. ここではわざとらしく, $$ (z_0,z_1,z_2) = \left(1,\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}, \frac{-1-\sqrt{3}i}{2}\right), \left(1,\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}, \frac{-1+\sqrt{3}i}{2} \right) $$ が2つの独立な振動モードで, 任意の系の振動はこれらの線型結合で表現できます.

また, 振動数を求める方法で機械的なものがあります. これは昨年の選抜でも出題されていましたが, $$\textbf{A} = \begin{pmatrix} 2 & -1 & -1 \\ -1 & 2 & -1 \\ -1 & -1 & 2 \\ \end{pmatrix} $$ とすると, $$ \begin{pmatrix} \ddot{y_0} \\ \ddot{y_1} \\ \ddot{y_2} \end{pmatrix} = -\omega_0^2 \textbf{A} \begin{pmatrix} y_0 \\ y_1 \\ y_2 \end{pmatrix} $$ となり, 振動数 $\omega$ での振動をする場合 $$ \begin{pmatrix} \ddot{y_0} \\ \ddot{y_1} \\ \ddot{y_2} \end{pmatrix} = -\omega^2 \begin{pmatrix} y_0 \\ y_1 \\ y_2 \end{pmatrix} $$ を満たすので, これらを連立させると, 方程式$$ - \omega_0^{2} \textbf{A} \begin{pmatrix} \ddot{y_0} \\ \ddot{y_1} \\ \ddot{y_2} \end{pmatrix} = -\omega^2 \begin{pmatrix} \ddot{y_0} \\ \ddot{y_1} \\ \ddot{y_2} \end{pmatrix} $$ となり, これが $y$ について $0$ でない解を持つためには, $$ \det \textbf{A}' = 0 $$ ただし, $\omega / \omega_0 = x$ として, $$ \textbf{A}' = \begin{pmatrix} 2-x^2 & -1 & -1 \\ -1 & 2-x^2 & -1 \\ -1 & -1 & 2-x^2 \\ \end{pmatrix} $$ となります. これを計算すると, $$ (2-x^2)^3 - 3(2-x^2) +2=0 $$ となるので, 因数分解できて, $$ (3-x^2)^2 (x^2) = 0 $$ となるので, $\omega = \sqrt{3}\omega_0 , 0 $ が固有振動数になります.

一般の $N$ のとき

先ほどの方法を使うと, $N$ 点の質点についての固有振動数は, $\omega / \omega_0 = x$ とおくと, $x$ は $$ \det \begin{pmatrix} 2-x^2 & -1 & 0 & \cdots & 0 & -1 \\ -1 & 2-x^2 & -1 & \cdots & 0 & 0 \\ 0 & -1 & 2-x^2 & \ddots & \vdots & \vdots \\ \vdots& \vdots& \ddots& \ddots & -1 & 0 \\ 0 & 0 & \cdots& -1 & 2-x^2& -1 \\ -1 & 0 & \cdots& 0 & -1 & 2-x^2 \end{pmatrix}_{N\times N}=0 $$ を満たせば良いことになりますが, これを計算するのはしんどいです.

振動モードを $N$ 個求めさえすれば良いので, 並進の $1$ 個と合わせてそれを予想します. さきほど得た $N=2,3$ の結果から予測すると, おそらく次のような解が予測できます. $$ y_j = e^ {i\left(\omega t + j\phi_n \right)} \qquad ( j = 0,1,\ldots , N-1). $$ ただし $\phi_n = \frac{2\pi n}{N} \quad (n = 1,2,\ldots N-1) $ です. この解が方程式を満たすか確認します. どれを代入しても同じなので, $j=0$ の方程式は, $$ -\omega^2 e^{i\omega t} = -\omega_0^2 ( 2 - e^{i\phi_n} - e^{-i\phi_n} ) e^{i\omega t} $$ となるので, $$ \frac{\omega^2}{\omega_0^2} = 2 - 2\cos\left(\frac{2\pi n}{N}\right) $$ つまり, $2-2\cos x = 4\sin^2\frac{x}{2}$ なので $$ \omega = 2\omega_0 \sin\frac{\pi n}{N} \qquad n = 1,2,\ldots N-1 $$ とすると, 条件をみたします.

まず振動数が違うものは線型独立なモードで, 振動数が同じ $n$ と $N-n$ に関しては複素共役 ( 時間が逆向き ) に振動しているので, 定数倍で表せず, したがってこれら $N-1$ 個のモードは全て線型独立で, 無事 $N$ 個のそれが見つかりました. 固有角振動数は $$ \omega = 2\omega_0 \sin\frac{\pi n}{N} \qquad n = 0,1,\ldots N-1 $$
という奇妙な値をとります.

ふかぼる

固有振動数の取りうる値は離散的で, なぜか範囲があります. これはどういうことなのでしょうか.

$N \to \infty$ で考察したいです. これは冒頭で見せたスリンキーコイルのような状況になっています. 前の方法で見つけた固有振動モードは, $j$ が進むと位相がちょっとずつずれていって, 一周すると $n$ 個の波が入っていることになります. (位相が $2\pi n$ ずれるので. )

これを境界条件が課された波動方程式に直したいですが, あいにくバネ定数 $k$ は長さの逆数に依存するなど扱いづらいです. ここで, バネの材質によらないヤング率 $E$ ? みたいなものとバネの断面積みたいなもの $A$, バネの長さ $\ell$ を用いて $$ k = \frac{EA}{\ell} $$ と表します. $E$ は材質によるものとし, $A$ は一定なので $EA=F$ とおいておきます.

いま, スリンキーコイルの一周の長さが $L$, 質量が $M$ であるとします. このとき, 適当な大きな整数 $N$ を用いて, これを $N$ 個の質量 $m = \frac{M}{N}$ の質点と $N$ 本の長さ$\ell=\frac{L}{N}$, ばね定数 $k = \frac{F}{\ell}$ のばねで繋がれているとモデル化すると, $j$ 番目の基準点からの変位 $y_j$ は, 先ほどの運動方程式と同じで, $$ m\ddot{y_j} = k ( y_{j+1} - 2y_{j} + y_{j-1}) $$ となり, これの両辺を $m$ で割ると $$ \frac{\partial^2 y_j}{\partial t^2} = \frac{k\ell^2}{m} \frac{y_{j+1} - 2y_{j} + y_{j-1}}{\ell^2} $$ となり, バネの長さに沿った座標 $x$ を取って, $\ell \to 0$の極限を取ると, $$ \frac{\partial^2 y_j}{\partial t^2} = \frac{k\ell^2}{m} \frac{\partial^2 y_j}{\partial x^2} $$ と, 変位$y$ の波動方程式に直せました. この波の位相速度 $v$ は, $$ v^2 = \frac{k\ell^2}{m} = \frac{F}{\ell} \frac{\ell^2}{m} = F\cdot \frac{L}{N} \cdot \frac{N}{M} = \frac{FL}{M} $$ と, $v= \sqrt{\frac{FL}{M}}$ と, $N$ に依存しない形になります.

ここで, 波が 長さ $L$ 中に $n$ 個入っている状況を考えると, その固有振動数は, $N$ を適当に取ると $$ \omega_n = 2\omega_0 \sin \left(\frac{\pi n}{N} \right) $$ でした. $\omega_0$ は全然定数ではなく, $$ \omega_0 = \sqrt{\frac km} = \sqrt {\frac{F}{LM}} N $$ なので, $N\to \infty$ の極限を取ると, $$ \omega_n = 2\sqrt{\frac{F}{LM}} \; N \cdot \frac{\pi n}{N} = 2\pi \sqrt{\frac{F}{LM}} n $$ となるので, 一波長の長さ$\lambda$は $$ \lambda = \frac{v}{\omega / 2\pi} = \frac{ \sqrt{\frac{FL}{M}} } { \sqrt{\frac{F}{LM}} n} = \frac{L}{n} $$ と, 確かに一致しています.

いかがでしたか?

なんかよくわからない結論になってしまった.

東大数学2025(ネタバレあり)

はじめに

受験まであと1年, 来年は全完したいと思うとそろそろできるようにならなきゃなぁと思っていました. 東進で模試を受けたのですが, 結果から言うと全然できませんでした. わからせプレイをされてしまった.

問1 四角い万華鏡

問題

座標平面上の点 $\rm A(0,0)$, $\rm B(0,1)$, $\rm C(1,1)$, $\rm D(1,0)$ を考える. 実数 $0 < t < 1$ に対して, 線分 $\rm AB$, $\rm BC$, $\rm CD$ を $t:(1-t)$ に内分する点をそれぞれ $\rm P_t$, $\rm Q_t$, $\rm R_t$ とし, 線分 $\rm P_tQ_t$, $\rm Q_tR_t$ を $t:(1-t)$ に内分する点をそれぞれ $\rm S_t$, $\rm T_t$ とする. さらに, 線分$\rm S_tT_t$ を $t:(1-t)$ に内分する点を $\rm U_t$ とする. また, 点 $\rm A$ を $\rm U_0$, 点 $\rm D$ を $\rm U_1$ とする.

(1) 点 $\rm U_t$ の座標を求めよ.

(2) $t$ が $0\leqq t\leqq 1$ の範囲を動く時に点 $\rm U_t$ が描く曲線と, 線分 $\rm AD$ で囲まれた部分の面積を求めよ.

(3) $a$ を $0<a<1$ を満たす実数とする. $t$ が $0\leqq t\leqq a$ の範囲を動く時に点 $\rm U_t$ が描く曲線の長さを, $a$ の多項式の形で求めよ.

解いてみた

(1) は丁寧にやるだけです. ${\rm X} (a,b)$, ${\rm Y} (c,d)$ について線分 $\rm XY$ を $t:(1-t)$ に内分する点の座標は $( (1-t)a+tc, (1-t)b+dt) $ なので, それを丁寧に計算すれば良いです. 答えは $\bf (-2t^{3}+3t^{2}, -3t^{2}+3t)$ です.

(2) は, 点 $\rm U_t$ が描く曲線を求めなきゃいけないのかと誤読してしまいました... (求めよに分配法則がかかっていたと勘違いしてしまいましたね.)

軌跡を求めることなんてできるんですかね. $t=\sin^{2}\theta$ とかとんでもない置換を考えてました.

もし軌跡を求める必要がないのなら, $\rm U_t$ を $(x(t),y(t))$ とおくと, $x(t)$ は増加するので置換積分で求められます. 求める面積を$S$とすると, $$ S= \int_{x(0)}^{x(1)} \; y(t) \;dx = \int_{0}^{1} \; y(t) \;\frac{dx}{dt} \cdot dt $$ より, 求める $S$ は $t$ の積分だけになり, これを計算すると $$ S = \int_{0}^{1} \; (-3t^{2}+3t) (-6t^{2}+6t) \; dt = \int_{0}^{1} \; 18t^{2}(1-t)^{2} \; dt = \mathbf{\frac{3}{5}} $$ になります. 簡単でしたね.

(3) はまず積分の形に直して, $$ L(a) = \int_{0}^{a} \sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^{2}+\left(\frac{dy}{dt}\right)^{2}} \;dt = \int_{0}^{a} \sqrt{(-6t^{2}+6t)^{2}+(-6t+3)^{2}} \;dt $$ となります. 流石に根号が外れないでこの積分を解くのは無理だし, 答えは $a$ の多項式になるので, 根号の中身も $t$ の多項式になりますね. $9$ をくくっておくと$$ (-2t^{2}+2t)^{2}+(-2t+1)^{2} = 4t^{4}-8t^{3}+8t^{2} -4t + 1 = (2t^{2}+?t \pm 1)^{2} $$ の形が予測できて, 実際は $(2t^{2} -2t + 1)^{2}$ ですね. $0\leqq t\leqq 1$ でこれは正なので, $$ L(a) = \int_{0}^{a} 3(2t^{2}-2t+1) \;dt = \mathbf{2a^{3}-3a^{2}+3a} $$ になります.

多項式で表せというのは流石に外れるので外してくださいという意図だったんだろうな.

問2 log(1+x^{1/n}/2)

問題

(1) $x > 0$ のとき, 不等式 $\log x \leqq x - 1$ を示せ.

(2) 次の極限を求めよ。 $$ \lim_{n \to \infty} n \int_{1}^{2} \; \log \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} \right) \;dx $$

解いてみた

(1) は本当のやるだけ問題ですね. まだこう言うのを出してくれるということは, 落ちてるゴミは拾いましょうという意図だと思います.

落ちてるゴミは, 拾いましょう!

(2) は極限なので, まずは答えを予測しておきます. というのもこれは最近よく見かける一般の $p$ 乗平均 $$ L_p(a,b) = \left(\frac{a^{p}+b^{p}}{2}\right)^\frac{1}{p} $$ の $a=1$, $b=x$, $p=0$ の極限です. ところで, この平均は $p$ について増加関数で, $\displaystyle\lim_{p\to 0} L_p(a,b) = \sqrt{ab}$ の相乗平均になります.

この問題は最近頻出していて, 今年の東大模試とかクリ模試に出ています.

つまり $n \to \infty$ の極限において, $$ \int_{1}^{2} \; \log \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} \right)^{n} \;dx \simeq \int_{1}^{2} \; \log (\sqrt{1\cdot x}) \;dx = \frac{1}{2} \int_{1}^{2} \; \log (x) \;dx = \log 2 -\frac{1}{2}$$

となります. 流石にこれはあってそうなので, これを上から, したから評価していきます.

上からの評価は, とりあえず与えられた不等式をつかってみて, \begin{align} &\quad \int_{1}^{2} \; n \log \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} \right) \;dx \\ &\leqq \int_{1}^{2} \; n \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} - 1\right) \;dx \\ & = \int_{1}^{2} \; n \left( \frac{x^{\frac{1}{n}}}{2} - \frac{1}{2} \right) \;dx\\ & = \frac{n}{2} \cdot \left[ \frac{1}{1+1/n} \cdot x^{1+\frac{1}{n}} - x \right]_{1}^{2} \\ & = \frac{n}{2} \cdot \left( \frac{1}{1+1/n} (2\cdot 2^{\frac{1}{n}}-1) -1\right) \\ & = \frac{n}{2} \cdot \left( \frac{1}{1+1/n} (2\cdot 2^{\frac{1}{n}}-2) - \frac{1/n}{1+1/n} \right) \end{align}

で, これを $1/n=t$ とおくと,

\begin{align} \text{(さっきの)} & = \frac{1}{2t} \cdot \left( \frac{1}{1+t} (2\cdot 2^{t}-2) - \frac{t}{1+t}\right) \\ &= \frac{1}{1+t} \frac{2^{t}-1}{t} - \frac{1}{2(1+t)} \end{align}

となり, 極限がもとまる形になりました. (ここまでの式変形はかなり工夫していて, $ \frac{ e^{t} - 1} {t} $ に似ている形を作ろうと考えながらやっていました. )

$n\to \infty$ で $t\to +0$ なので, さっきの式は $\displaystyle\lim_{t\to 0} \frac{2^{t}-1}{t} = \log 2$ を利用すると $$ \frac{1}{1+0}\cdot \log 2 - \frac{1}{2+0} = \log 2 - \frac{1}{2} $$ と上から評価できた. めでたい.

したからの評価ですが, 私はわかりませんでした. (え?) しかし, 答えに至る過程をよく思い出してみると, $x^{\frac{1}{n}}$ はほぼ $1$ に近く, $$ \log \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} \right)^{n} \simeq \log (\sqrt{x}) $$ あれ? となり, 確かに相加相乗平均の不等式から \begin{align} &\quad \int_{1}^{2} \; n \log \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} \right) \;dx \\ &\geqq \int_{1}^{2} \; n \log \left( \sqrt{1\cdot x^{\frac{1}{n}}} \right) \;dx \\ &= \int_{1}^{2} \; n \log \left( x^{\frac{1}{2n}} \right) \;dx \\ &= \int_{1}^{2} \; n \cdot \frac{1}{2n} \log(x) \;dx \\ &= \frac{1}{2} \cdot (2\log 2-1) = \log 2 -\frac{1}{2} \end{align} となり, 解けました. 答えは $\bf \log{2} - \frac{1}{2}$ です. チクショー!

問3

問4 x2+x+k

問題

$a$ を正の整数とし, $f_a(x)=x^{2}+x-a$ とおく.

(1) $n$ が正の整数のとき, $f_a(n)$ が平方数ならば $n\leqq a$ であることを示せ.

(2) $f_a(n)$ が平方数となるような正の整数 $n$ の個数を $N_a$ とおく. 以下の2つの条件が同値であることを示せ.

  • $N_a=1$ である.
  • $4a+1$ が素数.

解いてみた

(1) は平方数の不等式評価でいけそう. $m\geqq 0$ を用いて $$ m^{2} = n^{2} + n - a $$ とおいて, いま $n> a$ となる解が存在したと仮定する. このとき, $$ m^{2} = n^{2} + n - a > n^2 $$ なので, $ m \; $, $n$ が整数であることから, $m\geqq n+1$ が言えます. 逆にこの時, $$ n^{2} + n - a = m^{2} \geqq (n+1)^2 = n^2 + 2n + 1 $$ 式を整理すると $a+n+1\leqq 0$ となり, ドカッと矛盾します.

(2) は $4a+1$ を括りださなければ始まらなそうですね. $a=n^2+n-m^2$ なので, $$ 4a+1 = 4n^2 +4n+1-4m^2 = (2n+1)^2 -(2m)^2 = (2n+2m+1)(2n-2m+1) $$ とすると, もう解けそうな感じがします.

まず $4a+1$ が素数 $\implies$ $N_a=1$ を示します.

$2n+2m+1>0$ なので $2n-2m+1>0$ かつ, $m\geqq 0$ なので $2n+2m+1>2n-2m+1$ つまり, $4a+1=p$ を正の整数の積に分解する方法は $$ 2n+2m+1 = 4a+1, \quad 2n-2m+1 = 1 $$ しかなく, $n=a$, $m=a$ の場合に相当しますね. つまり $N_a=1$ です.

逆を示すときは, $4a+1$ が合成数 $\implies$ $N_a>1$ を示せばよさそうですね. 因数分解があればよいので, 正の整数 $r$, $s$ を用いて, $$ 4a+1 = (2r+1)(2s+1) $$ とかけます. ( $r\geqq s>1$を仮定しておきます. )

このとき, $$ 2n+2m+1 = 2r+1,\quad 2n-2m+1 = 2s+1 $$ つまり $n=\frac{r+s}{2}, m=\frac{r-s}{2}$ とすると条件を満たしますが, $r+s$ が偶数とは限らなくて, $4a+1=(2r+1)(2s+1)$ を $\bmod 4$ で考え得ると$ 2(r+s) \equiv 0 \bmod 4 $ つまり $r+s\equiv 0 \bmod 2$ となります. このとき $n$ は非負整数で, $m=(r-s)/2 \geqq 0$ なので条件を満たします. $n=(r+s)/2$ と $n=a=rs+(r+s)/2$ は別々に条件を満たすので, $N_a>1$ が言え, これの対偶を取ると逆が示せますね.

いい感じにまとまってるいい問題だなぁと思いました.

問5 どんぐりの背比べ

問題

$n$ を $2$ 以上の整数とする. $1$ から $n$ までの数字が書かれた札が $n$ 枚あり, これらは最初, 左から $A_1$, $A_2$, $\ldots$, $A_n$ と並んでいる. $i=1,2,\ldots,n-1$ に対して, 次の操作 $(\rm T_{i})$ を考える.

操作 $(\rm T_{i})$ : $i$ 番目の札の数字が, $(i+1)$ 番目の札の数字よりも大きければ, これらの札の位置を入れ替える. そうでなければ, 札の位置を変えない.

この操作を $(\rm T_1)$, $(\rm T_2)$, $\ldots$, $(\rm T_{n-1})$ の順に行い, 再び $(\rm T_{n-1})$, $(\rm T_{n-2})$, $\ldots$, $(\rm T_{1})$ を行うと, 左からに書かれた整数が $1$, $2$, $\ldots$, $n$ になった.

(1) $A_1$ と $A_2$ のうち少なくとも一方は $2$ 以下であることを示せ.

(2) 最初の状態としてある札の数字の並び方を $A_1$, $A_2$, $\ldots$, $A_n$ の総数を $c_n$ とする. $n$ を $4$ 以上の整数とするとき, $c_{n}$ を $c_{n-1}$ と $c_{n-2}$ を用いて表せ.

解いてみた

競プロじゃん... と思ったけど競プロにありそうな問題ですね. 緑コーダーなので解けるか不安です.

問題文を読んでも何かわかるわけではないのでとりあえず (1) を解きます. あとから記述がしんどくなるので, $\min(x,y)$ という関数を導入し, また操作 $\rm T_1$, $\rm T_2$, $\ldots$, $\rm T_{n-1}$ の後のカードの並びを $B_1$, $B_2$, $\ldots$, $B_n$, そして2周目にやる操作を $\rm T'_{n-1}$, $\ldots$, $\rm T'_1$ とします.

(1) は, $\rm T_1$ で $A_1$ と $A_2$ を触って, 一番左のカードは戻ってくるまで触れないので, $B_1 = \min(A_1,A_2)$ がわかります. 問題文は $B_1\leqq 2$ を示せばよいです. $n=2$ のときは自明なので, $n\geqq 3$ として $B_1 >2 $ を仮定します.

このとき, $\rm T_2'$ 後に $B_1$ の隣にあるカードを $x$ とすると, $\rm T_1'$ で $B_1$ と $x$ を入れ替えても, $B_1>2$ が最終的に左から1番目か2番目にあることになり, これは最後のカードの並びに矛盾します. 従って, $B_1 \leqq 2$ となり, $A_1$, $A_2$ のうち小さい方は $2$ 以下になります.

(2) はよくわからないのでもらうDPで考えます. $(A_1, A_2,\ldots ,A_n)$ が条件を満たすとき, $n-$いい並びと言うことにします.

(1) で $B_1 = 1,2$ を教えてくれたので, これで場合わけします.

(i) $B_1=1$ のとき.

$A_1, A_2$ どちらかは $1$ なので, そうでない方を $x$ とおくと, $\rm T_1$ 後に $$ 1,x,A_3,\ldots ,A_n $$ となります. これが操作列 $\rm T_2$, $\rm T_3$, $\ldots$, $\rm T'_3$, $\rm T'_2$ を経て$$ 1,2,3, \ldots n $$ と入れ替わるので, $(2,3,\ldots , n)$ の順列から $1$ ずつ引いた $(x-1,A_3-1, \ldots , A_n-1) $ は, $n-1$いい並びになります.

このとき, $B_1=1$ となる $n-$いい並びは, $\rm T_1$ での $(1,x)=(A_1,A_2)$ の並び替えを考慮して $2c_{n-1}$ 通りあります.

(ii) $B_1 = 2$ のとき.

$A_1$, $A_2$ のうちどちらかは$2$で, ( $1$ があると $B_1=1$ となるので) そうでない方を $x>2$ とします. 操作 $\rm T_1$ 後に列は $$ 2,x, A_3, A_4, \ldots ,A_n $$ となり, 操作列 $\rm T_2$, $\rm T_3$, $\ldots$, $\rm T'_3$, $\rm T'_2$ を経て $$ 2,1,3,4,\ldots ,n $$ となります. ここで, 左から2番目以降の列 $$ x,A_3, A_4, \ldots ,A_n $$ について考えると, $2$ を抜いた $1$ から $n$ の順列が大きさ順に大きさ順に並ぶので, $1$ 以外のやつから$1$引いた長さ $n-1$ の順列は $n-1$いい並びです. しかし, $x=1$ となると (i) とかぶるので, その場合は, 左から3番目以降の $$ A_3, A_4,\ldots, A_n $$ が並び替えられて $$ 3,4,\ldots,n $$ になるので, $(A_3-2,A_4-2,\ldots ,A_n-2)$ が$n-2$いい並びになるのと一対一対応し, つまりこの場合を除して $c_{n-1} - c_{n-2}$ 通りあります. これに $(A_1, A_2) $ の並び替えを考慮して, この場合は $2(c_{n-1}-c_{n-2})$ 通りになります.

以上の場合は排反なので, これらを足して, $$ c_n = 2c_{n-1} + 2(c_{n-1}-c_{n-2}) = \mathbf{4c_{n-1}-2c_{n-2}} $$ となります.

複雑な問題はもらうDPで落ち着いて考えるとよいですね. いやむずいでしょ... 緑コーダーには厳しかったですね.

難易度評価

問題 分野 難易度 感想
1 座標, 積分 4 毎年1番は簡単枠だなぁ
2 積分 7 下の評価なんで相加相乗平均使わんかったんやろ
3 関数 6 計算がしんどいけどこういうのができるようにならなきゃなぁ
4 整数 5 はいではある
5 DP? 7 頭回ってないと無理, 記述がしんどい
6 複素 7 (3)はしんどい...

JMO本選 2025

問1

問題文

$n$ を正の整数, $a_1$, $a_2$, $\cdots$ ,$a_{2n}$ に対して, $|a_k-a_{n+k}|\geqq 1 (k=1,2,\ldots n)$ を満たす時, $$ S = (a_1-a_2)^{2} + (a_2-a_3)^{2} + \cdots (a_{2n}-a_{1})^{2} $$ の最小値を求めよ.

解いてみた

解けない... さすがに $2$ だとは思うが... (3時間経過)

解いてみた

添字は $\bmod 2n$ で考えます. $x_i := a_{i+1} - a_{i} \quad (i=1,2,\ldots 2n) $ とします. また, $s_i = a_{i+n} - a_{i}$ とします. 今示したいのは, $$ S = \sum_{i=1,2,\ldots, 2n} x_i ^{2} \geqq 2 $$ です.

まず $$\sum_{i=1,2,\ldots 2n} x_i = 0 $$ なので, $$ \sum_{i=1,2,\ldots , 2n} s_i = 0 $$ です. (各項を $n$ 回ずつ足しているので) また, $|s_i| \geqq 1$ ということで, $s_i$ が"全部負"になるか"全部正"になることはないとわかります.

と, なると, ある $k$ が存在して $$ s_{k} \leqq -1 , \quad s_{k+1}\geqq 1 $$ なので, これがチャンスだ!と思います.

つまり $$ s_{k+1} - s_{k} \geqq 2 $$ なので, これを $x_i$ の言葉に直すと, $$ x_{k+n} - x_{k} \geqq 2 $$ なので, これの $2$ 乗の和が $2$ 以上だなぁということは簡単に示せそうです. $(-1,1)$ なので. これは, \begin{align} &\quad x_{k+n}^{2} + x_{k}^{2} \\ &\geqq (x_{k+n} -1)^{2} + (x_{k}+1)^{2} +2x_{k+n}-2x_{k} -2 \\ &\geqq 0+0+2(x_{k+n} - x_{k}) - 2 \\ &\geqq 2\cdot 2 -2 = 2 \end{align}

なので, 他の項は $0$ 以上なので, $S\geqq 2$ がいえました! (めでたしめでたし)

問2

【数オリ】なんで通ってなんで落ちたか考えよう

明日は数オリ本選, ついにラストイヤーです. 精進はJOI終わってからの1週間しかしてませんが, なんとしても落ちたくないので, 受かった時と落ちた時の違いを考察します.

前半は思い出話, 最後に教訓として結論を書きます.

僕の数オリ経歴

中1(2021) JMO予選落ち. (4点)

中2(2022) OMCをやる. (JMOで受けて) 予選8点, 本選は多分1完(それすらも怪しい...)

中3(2023) 本格的に数オリに取り組む. 予選9点, 本選で28点(78760)で入賞してまう 春合宿は1番級のみの4完.

高1(2024) ipho代表を目指して数オリを軽視する. 予選6点, 本選落ち. (多分2完)

高2(2025) 予選8点.

中3で通った時は当時は順当な気がしてきたけど, 今思うと上振れな気がする. けど流石に高2で落ちたら顔がなくなっちゃうということで, 中3のとき何が良くて高1のころ何が悪かったか考察してみる.

中3の頃 (JMO2023)

勉強面

基本的にたくさん精進してた. 夏休みは2000年代のISLを1日数問解くバチャを友達とやったり, EGMO(船旅を指している), canada IMO camp(カナダの春合宿でやる)とかevan chenの演習プリントを解いたりしてた. 秋以降は覚えてないけど1月1日から本選やらなんやらをたくさん解いた. 今思うと相当数オリに対するモチベは高かったんだと思う.

本番時の実力

FE, 数列系は基本的なのが解けるぐらいで結構苦手, 数論は応用の基礎(LTEとか)はできるけど意外と基本的な考察を見落としがち, 幾何はEGMOの9章もそこそこ理解してて得意, Cは苦手意識だけあった. JMOでいうと運いい年は通過できそうで, 半々ぐらいだったと思う.

本番

この頃の本選になると知り合いも多くてワクワクした. 昼はお得意のsubwayを食べ, いつも通り会場でワイワイした.

試験開始, 1Cはしんどいと思いまず2Gに取り掛かる. 見落としがちな "垂直な直線2本で垂心" を直前に考えていたからか15分ぐらいで解けた. 1番に取り掛かった. 普通に24じゃなきゃしんどすぎるなと思い評価を考えると解けた.

1番, 2番の答案をちょちょいと書き上げて40分ぐらいで2完. 普通に好調だったと思う. 3番が数列で苦手意識があったので, 4番をちょっと考察する. 落ち着いて考えると $n$ が $p_1p_2\cdots p_k$ の形で書けることに気づく. 平方数$+1$ の素因数なので, $p$ が $\bmod 4$ で $1$ なのでは? と思い考察がさらに進む. ここでMtSakaを威圧するために1度トイレに行った.

トイレに行ってる途中, 位数の議論を思い出して, $p_k \equiv 1 \pmod{2^{k+1}}$ であることに気づいた. こうなるといよいよ解けそうとおもい, 帰ってきてもう一つの条件に目を向けた.

2年連続LTEが出るとはおもわなかったが , LTEを使うと結局 $k$ の範囲が絞れることに気づいた. ここで痛恨のミスをする. $n=p_1p_2\cdots p_k$とするとき, $n\equiv 1\bmod 4$なので, 右側の条件は$$ v_2(n^{\phi(n)}-1) - v_2(d(n)^{5}) = v_2(n-1) + v_2(\phi(n)) - \underline{5(k+1)} = (k+1) + k(k+1) - 5(k+1) < 0 $$ とわかり, つまり $(k-4)(k+1)<0$, $k=1,2,3$ がわかった. 勝った... と思ったが, $k=2,3$ つまり $n=pq, n=pqr$ のときの議論が永遠にできない. え, ここが本質なの... と思い, おそらく2.5時間ぐらい経過していた. (なぜなら彼は $d(n)=2^{k+1}$ と勘違いしている)

一回落ち着いて3番に取り組んだ. "数列も $\mathbm{N} \to \mathbm{N}$ の関数 $f(n)$ っておけばいいやん!" と思ってたktanikun, 問題をFEに書き換えてしまった.

問題文の条件はいかついが, 「条件を満たす $i$ が〇〇個」 という文章は条件の強さに依存していることに気づいて, 関数が広義短調増加であることは示せた.

となると問題文の条件は $i=1,2,\ldots ,a_n$ が満たすので単なる不等式, $$ a_{a_n} \leqq a_{n+1} + c < a_{a_n+1} $$ の問題に帰着された. ここで $a_{k} \geqq k+1$ とか, ある $m$ が存在して $a_1=a_2= \cdots a_m <a_{m+1} < \ldots $ なこともわかった.

でもここで残り時間は30分程度だった. 4番がおそらく4/8ぐらいなのと, 3番が完答が全然見えないからだ. だけど4番も進まず...

そこから先の記憶はないけど, おそらく3番の議論をガンガン進めたんだと思う. 正直嘘をついている自信しかなかったが, 帰ってきた答案には2差があると $a_k \simeq 2k$ となって矛盾することとか, $m=2$ だとバグることとかが書いてあった. 俯瞰していると言うかとにかく式をいじりまくった結果だとは思う.

終わった瞬間は 8-8-3-4 とかで嘘がなければ通過している可能性もあったが, 2完なので流石にしんどいとおもった. 3も4もsujiが悪い考察はしていなかったので, 希望があった.

その後, サイゼリア等で知り合いの3番の議論がどんどん破綻していったのを覚えている. 自分も死ぬのか?と思ったが, なんとか生き残っていた. また, その夜に4番のミスに気づき, そして意外と完答が近かったことに複雑な気持ちになる.

発表までの1週間は物オリの添削をやったりした. (中3ワイにはしんどかった...) そして2月20日, いつも通りshikoneしてしまい21時ぐらいに寝ちゃったが, その日の22時ぐらいに通過者発表があり, MtSakaから大量の連絡がきていることに気づかず, 翌朝気づいた.

開成数研で通過しているのは自分だけで, 複雑な気持ちになったり, すこし鬱になった気がした. 実感がわかなかったというのが正しい.

春合宿にて答案が返されると 7-8-7-6-0 だった. 1番では構成の図が雑と言うことで1点げんてんされてた. 自分としては納得がいっていないが, 今見てみると結構わかりずらい. 初めての誤答集デビューを果たしてしまった.

1番の構成.

そして3番が7点もきていることは意外だった. 適当に書き殴った議論が通っているらしく, 嘘もなかった. この7点がなければ(ボーダーが22か21なので) 通っていなかったと思うとヒヤヒヤした.

3番

高1の頃 (JMO2024)

それからのこと

数オリの代表選抜には落ちて, 物おりの方の選抜にヘロヘロになりながら挑んだ. 自分でも何もできないことは自負していたが, 周りが思ったより何もできなかったのか, apho代表になった. aphoでは何もできないことをつきつけられ, 悔しかった.

それからというもの, jphoと夏セミナーがかぶっていて参加を拒否し, あまり数オリと関わらなくなった. 夏休みはショッピングモールのフードコートでIMOの問題を解いたり, マックとipadでISLを解いたりしたが, 中3の頃の熱意とは全然違っていた.

予選

年が明けちょっと予選対策をして, といっても予選免除だったので予選は適当に受けた. ここでボーダーを下回るとろくなことにならないジンクスがあるのは知っていたので, ちゃんと8問解いたが, 詰めの甘さで7完になってしまった.

しかし, 結果サイトを見てみると自分は6点, いまだに原因はわかっていないが, ボーダー+0と, 少し怪しい結果になってしまった.

本選まで

あんまり何をしたか覚えていない, というか多分何もしていないので, 1年前より衰えているのは自明だった. 幾何は得意だったので, 直前にJMOの幾何20年分を全部埋めた. (2021の3番だけ解けなかった.)

それでいいのか?数研部長 という感じだったが, なんやかんやで本選に望む.

本選

正直心のどこかで通過するだろwという謎の自信があったのだと思う. 試験前はふざけたりしてて, 落ち着いていなかった.

試験開始, 3Cはいかつくて, でも4Gがあって過去に4Gだった回は大体ざるだったので, 124の3完を目標にした.

まず1番だが, 自分が作った本選模試の1と見た目が似ていたので, 難なく解けた.

本選模試

2番の前に4番の図だけ書いた. 多くの人がここで誤読をしたらしいけど, 問題文を読めばわかることなので誤読はしなかった.

作図は苦手ではなかったのでなんとなく接して, 接点が $(AXO)$ と $(ABC)$ の交点なのではないかと予想した. でその点についていろいろ調べるとボロボロ性質がでてきた. これは勝った... と思った.

$K$ を $AM$ の二等分線として定義すると, $(AKM)$ と $MK$ が接することや, $MK$ が $DE$ の垂直二等分線なことは言える. つまり, あと $AXOK$ の共円が言えれば勝ちということになり, これはもらったぜ!となった.

多分ここまで1時間ぐらいで, 普通に2番は解かなきゃなので解く. だけど解けない... $k\mid 2f(k)$ は言えたけど $k\mid f(k)$ が言えない, それを繰り返してると評価が全然ガバガバで解けそうになかった. まずいと思い4番でいろいろ試したけど進捗はなく堂々巡り, 複素計算, 反転も視野に入れるけど見通し良くなかったのでパス. 多分ここで2時間ぐらい経過した.

あれ? そもそも $k\mid 3f(k)$ でもあるじゃんと気づき, 無事 $k\mid f(k)$ が言えた... そのあとはどうやって解いたか覚えてないけど, 試験終わった後に $\lcm (a,b) \neq \lcm(a+c,b+c) $ が出てきたっていう記憶があるので, なんか遠回りをしていたような気がする.

恐れていた3番の問題文を読みます. なんとここで誤読を発動させてしまいました. 何を誤読したかと言うと,

  • (正しい) $Z_1, Z_2, \ldots $ が $2000\times 2000$のマスを埋めつくす(重なっても良い)
  • (誤読) $2000\times 2000$ のマスを$Z$が重ならないように敷き詰めろ.

と 勘違いしてしまいました. するとおそらく答えは $2000$ 付近で, なんか評価も構成もイマイチで, 変な証明をつらつら書きます. (この時間, 去年の選抜の L字ブロックを思い出しててしんどかった.... ) 構成はちゃんと書いておきました.

残り1時間, とにかく4番を完答するしかない. 一回何がわかっていないかを整理して, どうすれば解けるかも考えましたが, 一向に議論が進まず, 流石に去年みたいに6点は入ってるだろww って感じの思いではあったけど, 流石に解けなくてマジでやばいと感じてた.

試験終了, 終わった瞬間は 8-8-2-4-0 と思ったので, 本当に通過はしんどいみたいな感じになってしまった. マムおは4番をといて(そらそうか~) となったけど, 自分は4番で大きな進捗を生んだ!と信じてサイゼリアに向かいます.

とにかく自分としては2番が死んでいるとどうにもならないので, 恐怖に怯えながら2番の解答を高橋とかのさとにみてもらいした. なんとか嘘はなさそうなので, 通過を祈って1週間待つ時間が続きました.

twitterでは3番を通している人が多く, さすがにボーダーは3完-aかなぁと思い, 一週間後, 岡田と作業していると(そのとき学校が忙しかった) MtSakaが教室にきて髙橋が通って, ktanikunが落ちてることをバラされました.

落ちる覚悟はあったし, 3番で誤読して4番で粘着してしまうという罪(カルマ)を犯したので, 予想していた結果ではあったけど, 流石のktanikunでも落ち込んでしまった. おちこんでるのを隠そうとして必死に岡田と喋ったりしたのを覚えている.

落ちた後

ああ, もう数オリ界隈の人と1年あってなくて, 自分のことを覚えている人間なんていないんだなぁと思いつつ, 自分はiphoで頑張ろうと決心しました. iphoにはいけなったんだけどね. (戦争, うらむぞ-)

教訓 (受かる人と落ちる人の違いは?)

結局1勝2敗, 1勝がまぐれみたいなもんなのでわからないですが, 明確な態度の差みたいなのが生まれました. 受かるムーブとしては

  • 1,2 番を素早く片付けられる.
  • まわりが嘘をつきやすい分野で嘘をつかない
  • 3,4どちらも筋がいい考察をする (完することに越したことはないが)

でした. 逆に落ちるムーブとしては

  • 1,2 どちらかが解けない.
  • 誤読をして問題数と時間を減らす.
  • 分野を決めつけてよくない粘着をする.
  • 数オリに舐めてかかる.

などが挙げられます. 通る実力があると思ってる人は特に1,2を片付けずに他に行くみたいなムーブをすると落ちる可能性が増えるとおもいます. 通る実力がないときは1,2に固執する必要はないです. 解けると思った問題を解けばいいです.

舐めてかかるとかは精神論ですが, 落ち着いて誠実にとりくまないと落ちた時の言い訳ができなくなります. 結局結果は結果なので. 本選4年目ですが, 筆記用具, お菓子, 昼食など万全な準備をしてかかりたいと思います.

あとはトイレに行って自分をリフレッシュ, 周りを威圧しましょう. 歩いている時に考察するのもてです.

あとはしょうもない減点を回避するぐらいまで俯瞰できると通過できそう. 十分性確認みたいな古典的なやつもちゃんと引かれるし, 最近は構成の説明だったり(去年の3の誤答集参照)をちゃんとしないと減点されるんだなぁなんて思った.