はじめに
受験まであと1年, 来年は全完したいと思うとそろそろできるようにならなきゃなぁと思っていました. 東進で模試を受けたのですが, 結果から言うと全然できませんでした. わからせプレイをされてしまった.
問1 四角い万華鏡
問題
座標平面上の点 $\rm A(0,0)$, $\rm B(0,1)$, $\rm C(1,1)$, $\rm D(1,0)$ を考える. 実数 $0 < t < 1$ に対して, 線分 $\rm AB$, $\rm BC$, $\rm CD$ を $t:(1-t)$ に内分する点をそれぞれ $\rm P_t$, $\rm Q_t$, $\rm R_t$ とし, 線分 $\rm P_tQ_t$, $\rm Q_tR_t$ を $t:(1-t)$ に内分する点をそれぞれ $\rm S_t$, $\rm T_t$ とする. さらに, 線分$\rm S_tT_t$ を $t:(1-t)$ に内分する点を $\rm U_t$ とする. また, 点 $\rm A$ を $\rm U_0$, 点 $\rm D$ を $\rm U_1$ とする.
(1) 点 $\rm U_t$ の座標を求めよ.
(2) $t$ が $0\leqq t\leqq 1$ の範囲を動く時に点 $\rm U_t$ が描く曲線と, 線分 $\rm AD$ で囲まれた部分の面積を求めよ.
(3) $a$ を $0<a<1$ を満たす実数とする. $t$ が $0\leqq t\leqq a$ の範囲を動く時に点 $\rm U_t$ が描く曲線の長さを, $a$ の多項式の形で求めよ.
解いてみた
(1) は丁寧にやるだけです. ${\rm X} (a,b)$, ${\rm Y} (c,d)$ について線分 $\rm XY$ を $t:(1-t)$ に内分する点の座標は $( (1-t)a+tc, (1-t)b+dt) $
なので, それを丁寧に計算すれば良いです. 答えは $\bf (-2t^{3}+3t^{2}, -3t^{2}+3t)$ です.
(2) は, 点 $\rm U_t$ が描く曲線を求めなきゃいけないのかと誤読してしまいました... (求めよに分配法則がかかっていたと勘違いしてしまいましたね.)
軌跡を求めることなんてできるんですかね. $t=\sin^{2}\theta$ とかとんでもない置換を考えてました.
もし軌跡を求める必要がないのなら, $\rm U_t$ を $(x(t),y(t))$ とおくと, $x(t)$ は増加するので置換積分で求められます. 求める面積を$S$とすると,
$$
S= \int_{x(0)}^{x(1)} \; y(t) \;dx = \int_{0}^{1} \; y(t) \;\frac{dx}{dt} \cdot dt
$$
より, 求める $S$ は $t$ の積分だけになり, これを計算すると $$
S = \int_{0}^{1} \; (-3t^{2}+3t) (-6t^{2}+6t) \; dt = \int_{0}^{1} \; 18t^{2}(1-t)^{2} \; dt = \mathbf{\frac{3}{5}}
$$
になります. 簡単でしたね.
(3) はまず積分の形に直して, $$
L(a) = \int_{0}^{a} \sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^{2}+\left(\frac{dy}{dt}\right)^{2}} \;dt = \int_{0}^{a} \sqrt{(-6t^{2}+6t)^{2}+(-6t+3)^{2}} \;dt
$$
となります. 流石に根号が外れないでこの積分を解くのは無理だし, 答えは $a$ の多項式になるので, 根号の中身も $t$ の多項式になりますね. $9$ をくくっておくと$$
(-2t^{2}+2t)^{2}+(-2t+1)^{2} = 4t^{4}-8t^{3}+8t^{2} -4t + 1 = (2t^{2}+?t \pm 1)^{2}
$$
の形が予測できて, 実際は $(2t^{2} -2t + 1)^{2}$ ですね. $0\leqq t\leqq 1$ でこれは正なので, $$
L(a) = \int_{0}^{a} 3(2t^{2}-2t+1) \;dt = \mathbf{2a^{3}-3a^{2}+3a}
$$
になります.
多項式で表せというのは流石に外れるので外してくださいという意図だったんだろうな.
問2 log(1+x^{1/n}/2)
問題
(1) $x > 0$ のとき, 不等式 $\log x \leqq x - 1$ を示せ.
(2) 次の極限を求めよ。
$$
\lim_{n \to \infty} n \int_{1}^{2} \; \log \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} \right) \;dx
$$
解いてみた
(1) は本当のやるだけ問題ですね. まだこう言うのを出してくれるということは, 落ちてるゴミは拾いましょうという意図だと思います.
落ちてるゴミは, 拾いましょう!
(2) は極限なので, まずは答えを予測しておきます. というのもこれは最近よく見かける一般の $p$ 乗平均 $$
L_p(a,b) = \left(\frac{a^{p}+b^{p}}{2}\right)^\frac{1}{p}
$$
の $a=1$, $b=x$, $p=0$ の極限です. ところで, この平均は $p$ について増加関数で, $\displaystyle\lim_{p\to 0} L_p(a,b) = \sqrt{ab}$ の相乗平均になります.
この問題は最近頻出していて, 今年の東大模試とかクリ模試に出ています.
つまり $n \to \infty$ の極限において, $$
\int_{1}^{2} \; \log \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} \right)^{n} \;dx \simeq \int_{1}^{2} \; \log (\sqrt{1\cdot x}) \;dx = \frac{1}{2} \int_{1}^{2} \; \log (x) \;dx
= \log 2 -\frac{1}{2}$$
となります. 流石にこれはあってそうなので, これを上から, したから評価していきます.
上からの評価は, とりあえず与えられた不等式をつかってみて,
\begin{align}
&\quad \int_{1}^{2} \; n \log \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} \right) \;dx \\
&\leqq \int_{1}^{2} \; n \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} - 1\right) \;dx \\
& = \int_{1}^{2} \; n \left( \frac{x^{\frac{1}{n}}}{2} - \frac{1}{2} \right) \;dx\\
& = \frac{n}{2} \cdot \left[ \frac{1}{1+1/n} \cdot x^{1+\frac{1}{n}} - x \right]_{1}^{2} \\
& = \frac{n}{2} \cdot \left( \frac{1}{1+1/n} (2\cdot 2^{\frac{1}{n}}-1) -1\right) \\
& = \frac{n}{2} \cdot \left( \frac{1}{1+1/n} (2\cdot 2^{\frac{1}{n}}-2) - \frac{1/n}{1+1/n} \right)
\end{align}
で, これを $1/n=t$ とおくと,
\begin{align}
\text{(さっきの)} & = \frac{1}{2t} \cdot \left( \frac{1}{1+t} (2\cdot 2^{t}-2) - \frac{t}{1+t}\right) \\
&= \frac{1}{1+t} \frac{2^{t}-1}{t} - \frac{1}{2(1+t)}
\end{align}
となり, 極限がもとまる形になりました. (ここまでの式変形はかなり工夫していて, $ \frac{ e^{t} - 1} {t} $ に似ている形を作ろうと考えながらやっていました. )
$n\to \infty$ で $t\to +0$ なので, さっきの式は $\displaystyle\lim_{t\to 0} \frac{2^{t}-1}{t} = \log 2$ を利用すると
$$
\frac{1}{1+0}\cdot \log 2 - \frac{1}{2+0} = \log 2 - \frac{1}{2}
$$
と上から評価できた. めでたい.
したからの評価ですが, 私はわかりませんでした. (え?) しかし, 答えに至る過程をよく思い出してみると, $x^{\frac{1}{n}}$ はほぼ $1$ に近く,
$$
\log \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} \right)^{n} \simeq \log (\sqrt{x})
$$
あれ? となり, 確かに相加相乗平均の不等式から
\begin{align}
&\quad \int_{1}^{2} \; n \log \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} \right) \;dx \\
&\geqq \int_{1}^{2} \; n \log \left( \sqrt{1\cdot x^{\frac{1}{n}}} \right) \;dx \\
&= \int_{1}^{2} \; n \log \left( x^{\frac{1}{2n}} \right) \;dx \\
&= \int_{1}^{2} \; n \cdot \frac{1}{2n} \log(x) \;dx \\
&= \frac{1}{2} \cdot (2\log 2-1) = \log 2 -\frac{1}{2}
\end{align}
となり, 解けました. 答えは $\bf \log{2} - \frac{1}{2}$ です. チクショー!
問3
問4 x2+x+k
問題
$a$ を正の整数とし, $f_a(x)=x^{2}+x-a$ とおく.
(1) $n$ が正の整数のとき, $f_a(n)$ が平方数ならば $n\leqq a$ であることを示せ.
(2) $f_a(n)$ が平方数となるような正の整数 $n$ の個数を $N_a$ とおく. 以下の2つの条件が同値であることを示せ.
解いてみた
(1) は平方数の不等式評価でいけそう. $m\geqq 0$ を用いて $$
m^{2} = n^{2} + n - a
$$
とおいて, いま $n> a$ となる解が存在したと仮定する. このとき, $$
m^{2} = n^{2} + n - a > n^2
$$
なので, $ m \; $, $n$ が整数であることから, $m\geqq n+1$ が言えます. 逆にこの時, $$
n^{2} + n - a = m^{2} \geqq (n+1)^2 = n^2 + 2n + 1
$$
式を整理すると $a+n+1\leqq 0$ となり, ドカッと矛盾します.
(2) は $4a+1$ を括りださなければ始まらなそうですね. $a=n^2+n-m^2$ なので, $$
4a+1 = 4n^2 +4n+1-4m^2 = (2n+1)^2 -(2m)^2 = (2n+2m+1)(2n-2m+1)
$$
とすると, もう解けそうな感じがします.
まず $4a+1$ が素数 $\implies$ $N_a=1$ を示します.
$2n+2m+1>0$ なので $2n-2m+1>0$ かつ, $m\geqq 0$ なので $2n+2m+1>2n-2m+1$ つまり, $4a+1=p$ を正の整数の積に分解する方法は $$
2n+2m+1 = 4a+1, \quad 2n-2m+1 = 1
$$
しかなく, $n=a$, $m=a$ の場合に相当しますね. つまり $N_a=1$ です.
逆を示すときは, $4a+1$ が合成数 $\implies$ $N_a>1$ を示せばよさそうですね. 因数分解があればよいので, 正の整数 $r$, $s$ を用いて, $$
4a+1 = (2r+1)(2s+1)
$$
とかけます. ( $r\geqq s>1$を仮定しておきます. )
このとき, $$
2n+2m+1 = 2r+1,\quad 2n-2m+1 = 2s+1
$$
つまり $n=\frac{r+s}{2}, m=\frac{r-s}{2}$ とすると条件を満たしますが, $r+s$ が偶数とは限らなくて, $4a+1=(2r+1)(2s+1)$ を $\bmod 4$ で考え得ると$ 2(r+s) \equiv 0 \bmod 4 $ つまり $r+s\equiv 0 \bmod 2$ となります. このとき $n$ は非負整数で, $m=(r-s)/2 \geqq 0$ なので条件を満たします. $n=(r+s)/2$ と $n=a=rs+(r+s)/2$ は別々に条件を満たすので, $N_a>1$ が言え, これの対偶を取ると逆が示せますね.
いい感じにまとまってるいい問題だなぁと思いました.
問5 どんぐりの背比べ
問題
$n$ を $2$ 以上の整数とする. $1$ から $n$ までの数字が書かれた札が $n$ 枚あり, これらは最初, 左から $A_1$, $A_2$, $\ldots$, $A_n$ と並んでいる. $i=1,2,\ldots,n-1$ に対して, 次の操作 $(\rm T_{i})$ を考える.
操作 $(\rm T_{i})$ : $i$ 番目の札の数字が, $(i+1)$ 番目の札の数字よりも大きければ, これらの札の位置を入れ替える. そうでなければ, 札の位置を変えない.
この操作を $(\rm T_1)$, $(\rm T_2)$, $\ldots$, $(\rm T_{n-1})$ の順に行い, 再び $(\rm T_{n-1})$, $(\rm T_{n-2})$, $\ldots$, $(\rm T_{1})$ を行うと, 左からに書かれた整数が $1$, $2$, $\ldots$, $n$ になった.
(1) $A_1$ と $A_2$ のうち少なくとも一方は $2$ 以下であることを示せ.
(2) 最初の状態としてある札の数字の並び方を $A_1$, $A_2$, $\ldots$, $A_n$ の総数を $c_n$ とする. $n$ を $4$ 以上の整数とするとき, $c_{n}$ を $c_{n-1}$ と $c_{n-2}$ を用いて表せ.
解いてみた
競プロじゃん... と思ったけど競プロにありそうな問題ですね. 緑コーダーなので解けるか不安です.
問題文を読んでも何かわかるわけではないのでとりあえず (1) を解きます. あとから記述がしんどくなるので, $\min(x,y)$ という関数を導入し, また操作 $\rm T_1$, $\rm T_2$, $\ldots$, $\rm T_{n-1}$ の後のカードの並びを $B_1$, $B_2$, $\ldots$, $B_n$, そして2周目にやる操作を $\rm T'_{n-1}$, $\ldots$, $\rm T'_1$ とします.
(1) は, $\rm T_1$ で $A_1$ と $A_2$ を触って, 一番左のカードは戻ってくるまで触れないので, $B_1 = \min(A_1,A_2)$ がわかります. 問題文は $B_1\leqq 2$ を示せばよいです. $n=2$ のときは自明なので, $n\geqq 3$ として $B_1 >2 $ を仮定します.
このとき, $\rm T_2'$ 後に $B_1$ の隣にあるカードを $x$ とすると, $\rm T_1'$ で $B_1$ と $x$ を入れ替えても, $B_1>2$ が最終的に左から1番目か2番目にあることになり, これは最後のカードの並びに矛盾します. 従って, $B_1 \leqq 2$ となり, $A_1$, $A_2$ のうち小さい方は $2$ 以下になります.
(2) はよくわからないのでもらうDPで考えます. $(A_1, A_2,\ldots ,A_n)$ が条件を満たすとき, $n-$いい並びと言うことにします.
(1) で $B_1 = 1,2$ を教えてくれたので, これで場合わけします.
(i) $B_1=1$ のとき.
$A_1, A_2$ どちらかは $1$ なので, そうでない方を $x$ とおくと, $\rm T_1$ 後に $$
1,x,A_3,\ldots ,A_n
$$
となります. これが操作列 $\rm T_2$, $\rm T_3$, $\ldots$, $\rm T'_3$, $\rm T'_2$ を経て$$
1,2,3, \ldots n
$$
と入れ替わるので, $(2,3,\ldots , n)$ の順列から $1$ ずつ引いた $(x-1,A_3-1, \ldots , A_n-1) $ は, $n-1$いい並びになります.
このとき, $B_1=1$ となる $n-$いい並びは, $\rm T_1$ での $(1,x)=(A_1,A_2)$ の並び替えを考慮して $2c_{n-1}$ 通りあります.
(ii) $B_1 = 2$ のとき.
$A_1$, $A_2$ のうちどちらかは$2$で, ( $1$ があると $B_1=1$ となるので) そうでない方を $x>2$ とします. 操作 $\rm T_1$ 後に列は $$
2,x, A_3, A_4, \ldots ,A_n
$$
となり, 操作列 $\rm T_2$, $\rm T_3$, $\ldots$, $\rm T'_3$, $\rm T'_2$ を経て $$
2,1,3,4,\ldots ,n
$$
となります. ここで, 左から2番目以降の列 $$
x,A_3, A_4, \ldots ,A_n
$$ について考えると, $2$ を抜いた $1$ から $n$ の順列が大きさ順に大きさ順に並ぶので, $1$ 以外のやつから$1$引いた長さ $n-1$ の順列は $n-1$いい並びです. しかし, $x=1$ となると (i) とかぶるので, その場合は, 左から3番目以降の $$
A_3, A_4,\ldots, A_n
$$
が並び替えられて $$
3,4,\ldots,n
$$
になるので, $(A_3-2,A_4-2,\ldots ,A_n-2)$ が$n-2$いい並びになるのと一対一対応し, つまりこの場合を除して $c_{n-1} - c_{n-2}$ 通りあります.
これに $(A_1, A_2) $ の並び替えを考慮して, この場合は $2(c_{n-1}-c_{n-2})$ 通りになります.
以上の場合は排反なので, これらを足して, $$
c_n = 2c_{n-1} + 2(c_{n-1}-c_{n-2}) = \mathbf{4c_{n-1}-2c_{n-2}}
$$
となります.
複雑な問題はもらうDPで落ち着いて考えるとよいですね. いやむずいでしょ... 緑コーダーには厳しかったですね.
難易度評価
問題 |
分野 |
難易度 |
感想 |
1 |
座標, 積分 |
4 |
毎年1番は簡単枠だなぁ |
2 |
積分 |
7 |
下の評価なんで相加相乗平均使わんかったんやろ |
3 |
関数 |
6 |
計算がしんどいけどこういうのができるようにならなきゃなぁ |
4 |
整数 |
5 |
はいではある |
5 |
DP? |
7 |
頭回ってないと無理, 記述がしんどい |
6 |
複素 |
7 |
(3)はしんどい... |